唐突かもしれないが初音ミクである。
ネットの流行ものでサイトの紹介には「バーチャル・ボーカリスト」とある。
昨今のコンピュータの高性能化とソフトウェアの進歩に伴って、打ち込みによる楽器演奏がかなりの程度家のPCでできるようになって来たが、このソフトウェアを用いてメロディと歌詞をPCに入力することで人間が歌っているかのように歌を打ち込みで演奏することができる。素材としてもともと声優さんの声を使っているし、いろいろな「表情」をつけて相当に人間らしい感じの歌を打ち込むことが可能(らしい)。
YouTubeとかニコニコ動画という動画サイトがあるが、ここらへんでは「初音ミクに歌わせてみました」という動画が(ほとんど動画というより音だけだったりもするが)いくつもアップロードされていて、かなり盛り上がっている。
盛り上がっていることは知っていてちょっと面白いなあと思ってはいたものの、まあ自分には関係ないと思っていた。
しかし今回CD作成で1曲歌を作成した。これを初音ミクに歌わせたら面白いのではないかと麗兄氏より提案されて、私もなんか面白そうな感じがしたのでやってみた。つまりはジャーン、初音ミクを買ったのであーる。
この曲、CD作るにあたってインスト曲ばかりだとつまんなそうなので歌ものを入れたいと思ってひねり出した。麗兄氏はリューイチ氏(河村ではない。サカモト)に心酔しているので(かどうかしらないが)インスト派である。つうか、たぶん歌が歌えないのでインスト派なのだと邪推される。私はどっちかというとボーカリストなので、というのは冗談だが、カラオケとかでも歌うので、歌に抵抗はない。最初私が作詞もして歌うつもりだったが、あんまりいい詞も浮かばなかったので、「著者なんだから作詞してくれ」みたいに依頼したら、詞が出来てきた。
まあ作品になろうというものの感想を(今の段階で)書くのもヘンだが、頼んでよかった。「チョンチョパラパラ」とか「アカサナタ」とか私には思いもつかないフレーズである。思いもつかないというか私は顔文字とか絵文字を使わないのと似たような感じで、詞の中にそんなに擬音とか入れようという発想がない。しかし別に人が書いたものとしてならさほど抵抗がある訳でもないので、読んでみて詞としてヘンによく出来ている感じがして面白いと思った。歌われている世界もちょっとさびしいがヤケクソで明るいみたいな感じでバタバタしたマイナー調の曲調に合っている。ちなみにメールのやり取りによると「チョンチョパラパラ」のところが最初に浮かんだそうなので人間の発想とはよく分からないものがある。人間の、というより特定の人の発想か。
さてそうして詞が出来てきたのでカラオケボックスでレコーディングでもしようと思ったが、麗兄氏より歌はやめてくれと言われた。CDにはカラオケを入れて歌詞を別途つけるとかそういうことにしたいらしい。まあ確かに女性のセリフの詞なので、私が歌ったらキモいというのもあるが「さそり座の女」とか女性言葉の男性歌手の歌もあるよな。
まあCDは、麗兄氏の著書のおまけなので、私が強硬に歌う権利を主張するようなものでもない。あっさり引き下がってカラオケバージョンを入れることにした。ここはカラオケを入れておいて、女性口調の詞をいいことに、若い娘に「レコーディングしませんか」と口実を作ってメールでもしてやれと思ったということもある。
しかし麗兄氏の次の提案は「初音ミクに歌わせたら面白いのでは」であった。「オレが歌うのはやめてくれで初音ミクなら面白い?分かる気もするが、それってどうなのよ」と思わないでもなかったが、そんな訳で初音ミクに歌わせてみようとあいなった。
ひとまず設定を何もいじくらずメロディと歌詞だけ入れて演奏してみたところ、いかにもロボットボイスで中国の人には悪いがなんか中国人のカタコト日本語みたいな感じであった。しかしこれもMIDI取り込みでベロシティという値が最大になっていたからのようで、その値を下げたら特に「表情」をつけなくてもそれなりに人間らしい感じになった。
まだ完成版ではないが、なかなかの感じに出来てきた。つう訳で、初音ミクボイスの曲がおまけCDには入るので、刮目して待て。